中島京子さんの「FUTON」を再読しています。
そして気付いたことがありました。
もしかして、このデイブ・マッコーリーってミッドライフクライシス?
読んだことのない方のために、ネタバレしないようにあらすじを申し上げます。
デイブ・マッコーリーは「FUTON」の主人公。40代半ばのアメリカ人男性で、アメリカの大学で日本文学を教えています。
離婚して息子が一人。今、付き合っているのは日系アメリカ人で教え子のエミ。そう、二回りほど年下の女性です。
このデイブの心境を、田山花袋の「蒲団」、そしてエミの百歳近い曾祖父(日本人)の日常を下敷きに描いています。(つまり「FUTON」は田山花袋の「蒲団」の本歌取りです。)
実は私は、子供の頃から日本の小説をあまり好きになれませんでした。
あの偉大と言われる夏目漱石すらも、正直、良さが分かりません(でした)。
漱石と田山花袋を一緒にしたら怒られるのでしょうが、自分(主に男性ですね。)の心情をこまごまと書いたもの、例えば漱石だったら「こころ」、田山花袋なら「蒲団」に全く共感できませんでした。
いや、今もできません。でも、中島京子さんの描くデイブの心情を読んで思いました。
「私には、(中年)男性(つまり元夫)の心情を理解する能力に欠けていた(いる)のではないか」と。
というのも、中島京子さんは「FUTON」の後書きで、「蒲団」の主人公である竹中時雄先生の様子を「ユーモラスで(略)読者の笑いを誘わずにはおかない」と書いているのです。
いや、私にはとてもそうは思えない。
どうにもならないことを「グジグジ」思い続ける竹中先生を(誤解を恐れずに言いますと)「気持ち悪い」と思ってしまうのです。
でも再読して思いました。
竹中先生と違って、デイブの心情は、割と面白おかしく(そしてもしかしたら多少都合よく)書かれているかもしれません。
一読すると飄々とした感じです。でも、
①田山花袋の「蒲団」について研究し、
②娘ほどの年齢の女性と付き合っている、
③50歳近い男性
ということを考えると、デイブはミッドライフクライシスのような気がしてならないのです。
自分はまだ若い、まだまだイケテると思いたい。老いに抗っている。
そんな男性のような気がするのです。
そして、そういう男性を、私は軽く笑い飛ばせない。
(まあ、元夫の場合は、夜中に叫んだり物を投げたりするようになり、一時期、身の危険を感じることがあったので「蒲団」や「FUTON」とは少し違いますが。)
でも、いずれにせよ、程度の差はあれ、今も昔も、全世界で数多くの男性が(そして女性も)ミッドライフクライシスになり、若くなりたい一心で浮気し、浪費し、整形し、配偶者と揉めているのだと思いました。
そして私は、それをユーモラスだと笑い飛ばせない配偶者の一人にすぎないのだと思えるようになりました。
少しは人間的に成長したのでしょうか?
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