今回は「(ミッドライフクライシス)離婚手続きのあれこれ」についてです。
「美しく、そして下世話」にでも書いたのですが、何につけ大切なのが生活、つまりお金です。
離婚でお金のこと(慰謝料や養育費等)で揉めることはよく知られています。
ただ、ミッドライフクライシス離婚の場合、少し違うところもあるので、そこも含めて、私の経験を書いてみました。
先ずは、(ミッドライフクライシス離婚かそうでないかに関わらず)基本的なことなのに案外知られていないのが、結婚生活で築いた財産に対しては、夫婦それぞれが50%ずつの権利を有しているということです。
これは、あなたが専業主婦で収入がゼロの場合でも当てはまります。
逆に、あなたは働いていて収入があるけど、旦那さんは主夫で収入ゼロの場合でも、旦那さんに50%の権利があるということです。
半分というのは、不動産、預金、株式等、宝石等(その他私には想像つかないのですがとにかく所有する財産の全て)の50%をもらう権利があるということです。
持ち家の場合、旦那さんが頭金を出し、旦那さんがローンを全て払った、あるいは払っているとしても、家の50%はあなたのものです。
お金について、人は往々にして醜くなりますが、離婚では特にそうなり、ミッドライフクライシス離婚ではもっとひどくなることがあります。
ミッドライフクライシスに陥った人は、非常に極端な行動を取るからです。
元夫は、お金に非常に綺麗な人でしたが(そして今はそのように戻りましたが)、ミッドライフクライシスが勃発したその日に「財産分与」について話し始めました。
そして「家の頭金は僕が出したし、ローンも僕が払っているので、この家は僕のものだ。売るから出ていってくれ」と言われました。
法的に間違ってます。
上に書いたように、私にも50%の権利があります。
(かつ、元夫の言ったことは事実ではありません。)
ただ、自分に50%の権利があることを知らないと、言われたままに出ていってしまうことになりかねません。
法的に間違ったことを言われたときに動じないだけの知識をあなたが持っておくことが重要です。
これは、ミッドライフクライシス離婚においては特に重要です。
ミッドライフクライシス(離婚)は突然起こるので、精神的な準備ができていないことがほとんどだからです。
正しい知識を持っておくことは、メンタルダメージの軽減に非常に役立ちます。
繰り返しになりますが、何か特別の事情がない限り(結婚前から旦那さんが財産を保有していた等)、結婚以降に築いた財産(ローン等を引いて残った正味財産)の50%はあなたのものです。
先ずこれをしっかり、理解しておいてください。
そこで大切になるのが、全財産の把握です。
これは、夫婦によって状況が大きく違うと思います。
夫婦の財産をあなたが全て管理しているなら、預金やローンの額なども把握してらっしゃることでしょう。
ただ、そうでない場合は先ず把握することが急務です。
もし、それが無理なら、とりあえず、旦那さんが勝手に財産を処分できないように、自分で動かせるお金をどこかに移すことが必要になってくるかもしれません。
また、実印、預金通帳等もどこかに移した方がいいかもしれません。
なぜか。
今後の自分の生活を、お子さんの生活を守るためです。
元夫は私に「結婚期間中の生活費を全て返してくれ」と言いました。
うちは共働きで、家事は95%(完ぺきではありませんが)私がやってました。
元夫は非常に優しい、まともな人でした。
それでも、ミッドライフクライシスになると、そういう残酷かつ理不尽なことを平気で言うようになります。
その他、ミッドライフクライシスになった人は、高額の買い物(車、旅行、女性へのプレゼントなど)をすることが多く、分与対象である財産を減らすことにもなりかねません。
旦那さんがそういった高額出費をし始めたら、証拠(レシートや写真等)を保存しておきましょう。
離婚に際しては、合意書を作成し、その中で財産分与、そしてお子さんがいらっしゃるなら親権等についても明記しておいたほうがいいと思います。
逆に言うと、納得できる条件で合意できない限り、離婚届には判を押さないという姿勢を貫くことは戦術の一つになりえます。
合意書作成は、弁護士がいなくても可能です。(ネットでググれば見本があります。)
慰謝料についても案外知られていないので書きますが、慰謝料はあてにはなりません。
仮に相手に問題があったとしても(浮気やDVなど)、日本の場合200~300万円ぐらいが上限だからです。
しかもこの額をすんなりもらえるのではなく、裁判でへとへとになって争ってもらえる額がこの程度ということです。(しかも裁判になったら多くの場合、弁護士さんについてもらうことになるので弁護士使費用もかかってきます。)
200~300万円を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、いずれにせよ、相手側に問題(浮気やDVなど)があるので、財産は全部自分がもらえるはずだという考えは、間違いです。
私の親族にそういう考えをする人がいて、困りました。
心情的にはありがたい(?)のですが、法的には全く見当違いなので、何の助けにもなりません。
繰り返しになりますが、結婚して築いた財産の50%について、夫婦それぞれが権利を有しています。(二人で築いた財産だからです。)
それでも、浮気されたので慰謝料を取りたいという場合は証拠が必要です。
証拠というのは、夫が浮気相手と「肉体関係」を持っているという証拠です。
スマホなどから簡単に証拠を入手できる場合はいいのですが、そうでない場合は探偵を雇うという方法もあります。
ただ、張り付いて尾行する場合などは、数十万、悪くすると100万円ほどの料金になることもあるようです。
それだけのお金、そしてエネルギー(探偵の方とのやり取りには相当のエネルギーを要するでしょう。)をかける意味があるかどうかを先ずは考えたほうがいいと思います。
こういったことに一番詳しいのはもちろん弁護士です。
ただ、弁護士を雇うかどうかについては意見が分かれると思います。
費用もかかるし、味方になってくれるいい弁護士さんを見つけるのは大変だからです。
弁護士もピンキリで、女性は男性に従うべきだというようなことを公言するような(アホな)弁護士もいます。
ですから、どうしても弁護士を雇わなければならないとは言いません。
でもその場合は、必要な法的な知識を自分で集めることになります。
法的知識のある人が身近にいればその人に聞くこともできますが、そうでなければネットなどで自分で調べます。
ただ、旦那さんが弁護士を付けた場合は、こちらも弁護士を付けたほうがいいかもしれません。
弁護士を付けるメリットは、法的な知識を教えてもらえるだけでなく、納得のいく離婚(納得することはないかもしれませんが)までの道筋を具体的に教えてくれることです。
取れる道筋の選択肢やそのリスク、検討すべき問題点を予め知っておくことはストレスを大きく軽減します。
最後に、当たり前ですが、一番大切なことを書きたいと思います。
離婚で一番大切なのは、自分で決めるということです。
親兄弟姉妹、友人、弁護士、みなそれぞれ頼りになりますが、それぞれの役割における助けに過ぎません。
親兄弟姉妹なら、駆け込んだときにご飯を食べさせてくれる、子供を預かってくれるなど、弁護士なら、慰謝料を取れるか取れないかについてアドバイスをくれるなどという意味において、非常に助けになります。
でも、あなたがどうしたいのか、例えば、条件はどうでもいいからすぐに離婚したいのか、条件を飲んでもらうまでは離婚しないのか、離婚は断固拒否するのか等は、誰でもない、あなたが決めることです。
そこは誰にも頼れませんし、頼らない方が、今後のあなたにとっていいと思います。
また、あくまで個人的な意見ですが、離婚したからといって、実家に戻って、独身時代の自分に戻るというのは不可能だと思います。
逆に、実家に戻れば、いやでも離婚のこと、元夫のことを思い出してしまいます。
一時的にお世話になるのは仕方のないことかもしれませんが、ある程度落ち着いたら、(お子さんと一緒に)自立されることを強くお勧めします。
私もまだその途上です。
何かあったら、またこのブログに書きたいと思います。
P.S.
年金分割手続きについて書き洩らしたことに後日気が付きました。
ご興味ある方はこちらの記事をご覧ください。
初稿 2024年5月
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ミッドライフクライシスとは何か
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自分を甘やかす
感謝する
記録を付ける
こんにちは。ミッドライフクライシスを調べていてこちらのブログを拝見しました。
返信削除私が書いているかと錯覚するくらい、同じ経過を辿り、同じ悩みを抱えています。
主人も昨年夏から突然人格が変わってしまいました。離婚しか頭になく、私に暴言を吐き、財産分与しろと暴れ、年末に家を出てきいました。
本当に辛い日々で私自身も心を病み、体重も8㌔近く落ちてしまいました。
今はとりあえず婚姻費用をもらいながら生活していますが、メンタルに波があって、気分が悪い時にはわざわざうちに来て夜中まで離婚はいつするんだ?と詰め寄ってきます。
とはいえ、私は今までの夫婦の歴史もあり踏ん切りが付かず…静観している状態です。
これからどうなるかわかりませんが、今はただ自分で自分を幸せにする方法を模索しています。
こんなにもドンピシャに同じ悩みを抱えている方と出会い、暗闇に一筋の光が射した気持ちです。
これからも有益な情報を発信していただけると大変嬉しいです!
有難うございました。
投稿者様、
削除コメントありがとうございます。日本では妻から切り出す熟年離婚は有名ですが、夫の側のミッドライフクライシスについては本当に情報が少ないと思います。私も、欧米に同じ悩みを抱えている女性たちがたくさんいることを知って、初めて息をつくことができました。
投稿者様は静観されているとのこと。静観されている間に、おっしゃっておられる通り、自分で自分を幸せにする方法を是非とも見つけられることを祈っております。私も今いろいろトライしています。
コメントをいただき私も励まされました。お体そしてお心をどうぞ大切になさってください。ありがとうございました。
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