2025/01/21

理想と現実の狭間で

先日、いつもの居酒屋で元夫と食事しました。

その1週間前にも会っていたので、少し早すぎかとも思ったのですが、結局会うことになりました。

そして、元夫のミッドライフクライシスについて、また質問することができました。

良くも悪くも最近、私と元夫の関係が安定してきているので、より深いことを聞けるようになっています。

その日、彼は以下のように言っていました。

  • 君との(私のことです。)結婚生活は嘘ではなかった。
  • 君との結婚生活で温かい家庭を得ることができた。
  • でも、自分には理想があってそれを忘れられない。
  • 僕に期待しないでほしい。
  • 今の仕事をやめた(リタイア)後も働いて収入を得たい。

私は以下のように理解しました。
  • 元夫には理想がある。その理想は女性だけではなく、人生全てにおいてである。
  • 元夫の理想は「温かい家庭」ではなかった。(あるいは途中からそうではなくなった。)
  • 若く、もっとエネルギッシュな、はつらつとしていた自分が本当の自分であり、それにふさわしい仕事と伴侶があるはずだ。
  • 離婚前の自分は理想通りではなく、元伴侶(私のことです。)も理想通りではなかったから離婚した。
  • だから、もっとはつらつとした自分に変わり(戻り)、収入も増やしたい。
  • そしてそれに見合う、はつらつとした伴侶を得たい。

こういうことだと思いました。

家に戻って気付いたことがあります。「仕事と伴侶」に関する私自身の考えについてです。

大学卒業前から、私は、キャリアについては自分の思い通りには行かないだろうと考えていました。

男性は2人がかりで働くが、私は女だからそうはいかないと思ったのです。

ほとんどの男性は働いてさえいればよく、洗濯、料理、掃除、子育ては、今なお、多くの場合、妻が担当します。

でも私は、頑張って仕事も家事も全て一人でやるようなことはしたくありませんでした。

無理だと思いました。実際、私の知り合いの女性は、一人で全てをこなしていましたが、非常につらそうで、顔中にアトピーがありました。

そこで私は、キャリアと家庭とをそれぞれ60点ぐらい、合計120点ぐらいの力で継続していく道を模索し始めました。

当時はここまで言語化できていたわけではありません。

とにかく、キャリアにおける理想と現実について考え、自分の道を模索し始めたのです。

そして自分自身に真剣に問い始めました。

自分は何をしたいのか。どう生きたいのか。

そして考えた結果をもとに選択をしたのです。

今振り返るに、良い選択をしたと思っています。

「キラキラ」ではありませんが、割と好きな仕事を、割と好きなペースでこつこつと続けることができています。

これからも体力が続く限り、今と同じように働けたらいいなと思っています。

実はこれと似たような決断を、私は結婚でもしています。

というのも、私、好きな人がいなかった、できなかったのです。

じゃあ、誰とでも結婚できたかというとそうではない。

そこで私は、通常の生活の範囲内では会う機会のない人に会うために、活動の場を大きく広げました。

そこで出会ったのが元夫です。

元夫は、私の周囲の人とは全く違いました。

そして周囲には結婚を反対されました。

でも私は結婚することを決めました。

失敗を恐れて何もしない(シングルのままでいる)より、飛び込んで後悔する方がいいと思いました。

結果的に離婚にはなりましたが、今でもその選択は間違ってなかったと思っています。

今でも彼と結婚してよかったと思っています。

結婚したことにより、私は本来の自分を取り戻し、自分にも他人にも素直になりました。

また、現実にある選択肢(結婚相手)の中から選択する(結婚する)ことで、自分についてより深く理解できるようになりました。

このように、キャリアと結婚における選択には、どちらも非常につらい決断を伴いました。

が、そのおかげで、私は自分の人生を前進させることができたと思っています。

そして、私は自分の選択したキャリアと結婚生活の両方において、自分の幸せを築いてきました。

結婚は離婚という形になってしまいましたが、今後はその(離婚という)結果をもとに、私の人生はさらに進んでいくのだと思っています。

一方、離婚後の元夫との会話で、元夫はそうではないようだということが分かってきました。

元夫は、行き詰ったら、常にリセット(転職と離婚)してきたようなのです。

私は彼の二人目の妻です。

そして、今振り返るに、彼が私を妻としたのは、彼自身のキャリアを発展させていくための選択だったんだろうと思います。

つまり、行き詰ったとき、彼は、行き詰まるまでの過程で得たものを糧に前進するのではなく、行き詰っている人生を丸ごとすべて捨て、ゼロベースからやり直してきたようなのです。

もしかしたらこれはミッドライフクライシスの人の多くに共通することかもしれません。

彼らは、うまくいっていた頃(若い頃)に戻り、ゼロベースからもう一度人生を積み上げ直したいと思っているのではないかと思います。

もちろんそれは不可能です。もう若くはないのですから。

そして若いときにはもう戻れないのですから。

今回、「僕に期待しないでほしい」とまた言われました。

(元夫との)再婚はありえないと言われているのだと理解しました。

彼に言われるまでもなく、私はもう何も期待していません。

が、面と向かってそう言われ(拒否され)、悲しい気持ちになりました。

元夫と話していて楽しいときもあります。

ただ、それは内容のない会話をしているときだけです。

大事なこと(元妻ゆえに知りたいことなど)を話すとき、元夫は相変わらず、私をシャットアウトします。

そして、今回、そのシャットアウトの理由がはっきりしました。

私が彼の理想ではないからです。

彼の理想の世界の住人にふさわしくないからです。

若くも美しくもない、平凡な中年女性です。

でも、彼の理想の世界にはまだ何もないし、誰もいない。

だから、現実のさびしさのあまり、私に連絡してくるのだと思います。

そういうことが、悲しいことですが、だんだんと見えてきました。

また、ミッドライフクライシスから抜け出るには、一定のプロセスを本人自身が経なくてはならないこと、そしてそれには長い時間がかかるであろうということも、今の彼を見ていて、再度認識することができました。

これからどうなるか、どうするかについては(相変わらずですが)決めていません。

次の仕事と理想の女性を手にすれば、元夫は高らかに自分の選択は正しかったと宣言するでしょう。

あるいは、そうならなくても、ずっと(理想を)諦めない可能性もあります。

諦めるまでは失敗ではありませんから。

死ぬまで理想を追い続けるということもあるかもしれません。

今の彼を見ていると、理想と違う人生を送るぐらいなら、人生を捨てたほうがいいと思っているようです。

今回、深い話をしているとき、途中、何度も沈黙が続きました。

私がこれまでになく突っ込んだことを聞いたからです。

そして、その沈黙に私は、元夫の「(そのことについては)話したくない」という強い意志を感じました。

悲しいことですが、もう食事の誘いは来ないかもしれません。

今回、別れ際に、元夫はいつものように「何かあったら電話して」と言いました。

私は明るく「さよなら」と返しました。

本当の別れの時期が来たのかもしれません。

でも、今ならなんとか耐えられるような気がしています。

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大人の恋 楽しい恋

最近思い出したことがあります。 大学2年生のときに1か月間、ヨーロッパをバックパックで旅行したときのことです。 ユーレイスパスを使って一人で旅したせいか、あちこちですぐに知り合いができました。 その中の二人が、確かドイツ人女性と日本人男性のカップルでした。