2024年9月、そして2025年7月と、「中年期の不調」をテーマにした番組がNHKで放映されました。
そして番組の中では、「中年期の不調=ミッドライフクライシス」であるかのように説明されていました。
以前も書きましたが、また書きます。
「中年期の不安、中年期の不調」と「ミッドライフクライシス」は違います。
正しくは以下の通りです。
中年期の不安、不調=ミッドライフトランジション(移行)
中年期の危機 =ミッドライフクライシス(危機)
2024年9月の番組には小泉今日子さんが出演され、小泉さんも他の方もつらい思いをされているとは思いましたが、皆さんまだ冷静にご自身を見つめる余裕があり、周囲に大迷惑をかけているようには見えませんでした。
そうです。
ミッドライフクライシスの人の多く(特に男性)は周囲に非常に大きな迷惑をかけます。
「中年期の不調や不安(トランジション)」がつらくないと言っているわけではありません。
でも、ミッドライフクライシスが「冷静に自分を見つめられる状態」だというのは大きな誤解だと思います。
そんなレベルではありません。
欧米ではよく、ミッドライフクライシスになった父親を見て、子供が「お父さんは宇宙人にさらわれて洗脳された」というような比喩をするくらいです。
2024年9月の番組では、ミッドライフクライシスの症状を以下のように説明していました。
- 老いや体の変化をうまく受け入れられない(特に重要)
- 家庭生活や仕事にやりがいを感じられない
- 人生の決断をするなら今しかないと思っている
- 子育ての終わりに満足より寂しさを感じる
- 人間関係に不満を持っている
- これらの悩みについて話せる相手がいない(特に重要)
一方、欧米のミッドライフクライシス本が定義する典型的な症状は以下の通りです。(赤いハイライトはモリムラ。詳細はこちらの記事をご覧ください。)
- 人生に不満を持っている
- 悲しんでいる、悩んでる、やる気がない
- 睡眠時間が長くなる・短くなる
- 食欲が増える・減る
- 気分がころころ変わる
- 性急な決断が増える(ギャンブル、旅行、高い買い物等)
- 新しいことを始める(仕事、人間(女性)関係など)
- 新しいものを買う(車、服など)
- これまで温めていた計画をあきらめる
- 仕事、家族、自分自身にいら立つ
- 孤立する、引きこもるようになる
このブログを読んでくださっている方は聞き飽きてらっしゃるかもしれませんが、私の元夫は、夜中に叫ぶようになり、物を投げ始めました。
別の女性と付き合いたいと言い始めました。
こういったことが、ある日突然始まります。
元夫が上のような状態になる前月、私たちは、引っ越し先を探すために(仲良く?)二人で旅行していました。
ですから、元夫のミッドライフクライシスは、私にとっては青天の霹靂でした。(欧米のミッドライフクライシス本でも「突然」だということが数多く報告されています。)
そして離婚した今、今度は何ごともなかったのように私に連絡してきます。
離婚前、元夫は「あれもやりたい、これもやりたい」と言っていました。(躁のような状態と言えるかもしれません。)
が、それは今、全てやめてしまったようです。(鬱のような状態かもしれません。)
これが「ミッドライフクライシス」です。
悩むというより、悩みを周囲にぶつける、と言った方がいいかもしれません。
しかも非常に極端な形でです。
私がこのブログを始めたのは、ミッドライフクライシスに関する情報が日本にほとんどなかったからです。
あまりにないので、英語でググったら(元夫の言動を英語にして検索しました。)、そこには膨大な量の情報がありました。
そのあまりの差にびっくりしました。
「ミッドライフクライシス」という言葉を知ったのものそのときです。
でも救われました。
私だけではない、地球上には同じようなことで苦しんでいる人がたくさんいると知ったからです。
2024年9月、そして2025年7月に放映されたNHKの番組を見て思ったことがあります。
日本でもそういう人が増えているのだろう、ということです。
そして、このままいくと、日本でも、本物のミッドライフクライシスが増える(いや既に増えている)のではないかとも思いました。
ミッドライフクライシスは番組で放映されているような、「自分と向きあって解決する」というような「きれい」なものではありません。
自分と向き合うということは「老いや衰え、自分の弱さを受け入れ、それをよしとする」ことだと思います。
でも、ミッドライフクライシスの人にはそれができない。自分と向き合うことができないから、ミッドライフクライシスになるのです。
私の元夫は「一旗揚げたい」と言って出ていきました。
「自分を嫌いだ」とも言ってました。
ミッドライフクライシスの人は、自分の老い、弱さ、限界を認められず、自分の不調(不幸)の原因を自分以外に求めます。
家族や今の仕事が、足手まといになっているので幸せになれない。
だから、全てを捨ててリセットしよう、捨てれば幸せになれるという発想です。
あるいは(男性の場合)自分の娘ほどの年齢の女性と付き合い、若さを取り戻そうとします。
そのため、周囲(特に妻と子)が傷つきます。
ただ、ミッドライフクライシスにカウンセリングが有効かというと、私は懐疑的です。
日本では症例も少ないでしょうし、そもそもカウンセリングを受けること自体への抵抗感が、まだまだ強いと思います。
自分と向き合うということは、人間関係(親子、夫婦等)含め、自分の全て(能力、性格、好悪、仕事、趣味等)を(なるべく)客観的に見つめ直し、それを現実の自分として受け入れるということだと思います。
ミッドライフクライシスになった人にとっては、精神的に非常にきつく、時間もかかる作業だと思います。
初稿 2024年9月20日
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