今回は「ミッドライフクライシスが起きるまで」についての私なりの理解をまとめました。
先ず、以下のミッドライフクライシスの定義をご覧ください。(詳細はこちらの記事をどうぞ。)
ミッドライフクライシス(中年の危機)とは、45~64 歳の男女に起こる可能性のある心理的危機で、アイデンティティと自信が変化する過程である。
老い、寿命、何も達成しないまま死んでしまうかもしれないということを強く意識させる出来事がきっかけとなって起きる。激しい憂鬱感、後悔、強い不安感、あるいは、若さを取り戻したい、現在のライフスタイルを大きく変えたい、過去の決断や出来事を変えたいという願望が生じる。
下線部分が、ミッドライフクライシスのきっかけです。
でも「きっかけ」は要因の一つに過ぎません。
きっかけとなりうる出来事が起きても、ミッドライフクライシスになる人とならない人がいるのです。
つまり、「もう若くはないし、自分はこのまま何も達成しないまま死んでしまうのではないかという恐怖」を感じても、それをやり過ごし、ミッドライフトランジション(移行)で済む人もいる。
でも、済まない人もいる。
では、どういう人がミッドライフクライシス(危機)になってしまうのか。
大きく以下の三つの要因に分けられるます。
- 過去 - これまで「自分の人生」を生きてこなかった
- 現在 - ストレスの多い状態が続いている
- 未来 - このまま何も達成しないまま老いていく、死んでしまうということを強く意識させる何かが起きる
具体的に見ていきます。
1. 過去 - これまで自分の人生を生きてこなかった
ミッドライフクライシスは、これまで自分の人生を生きてこなかった(と感じる)人に起こります。
もっと言うと、他者の期待に応えるためだけに生きてきた人に起こることが多い。
「自分のやりたいことより他者からの期待を優先させること」自体は、本人がそれを分かっている限り問題ありません。
ミッドライフクライシスになる人の問題は、それに気付いていないことです。
「他者からの期待=自分のやりたいこと」だと信じています。
ですから、ミッドライフクライシス勃発までは「気遣いのできる、いい旦那さん、いい人」と思われていることも多く、本人もそれを自己評価の基準としています。
他者評価に依存し(過ぎ)ているとも言えます。
その矛盾に気付かずにミッドライフ(中年期)まできてしまうと、ストレスと疲労が無意識のうちに蓄積してしまいます。
2. 現在 - ストレスの多い状態が続いている
ミッドライフ(中年期)になると、ストレスが増えます。
なぜか。
ストレスは変化で生じるからです。
いい変化でも悪い変化でもストレスは生じます。
そして、ミッドライフ(中年期)になると変化には事欠きません。
- 体力の衰え
- 容ぼうの衰え
- 更年期障害(男女とも)
- キャリアの先細り
- 転職、失業、減給
- 子供の巣立ち
こういった様々な変化がストレスを起こし、蓄積させます。
過去に既に蓄積しているストレス(上記1)の上に、更に現在のストレスが重なっていきます。
3. 未来 - 今の生活を変えたいという衝動を引き起こす何かが起きる
厳密には2パターンあります。
一つ目は上記の通り、老いや寿命、何も達成しないまま死んでしまうかもしれないということを強く意識させる何かが起きるパターンです。
例えば、肉親や友人の死、子供の巣立ちなどがこれに当たります。
子供の巣立ち、独立は、子育てを終え、肩の荷が下りることではありますが、人生を振り返るきっかけともなりえます。
もう一つのパターンは、目に見える大きなきっかけはないが、1.と2.で蓄積されるストレスが多過ぎて、許容量(キャパ)を超えてしまうパターンです。
どういう形にせよ、たまったストレスが限界を超えると、爆発します。
上記3つの要因により、ミッドライフクライシスが勃発する過程を下にまとめてみました。
ミッドライフクライシスが起きるまで
他者の期待に(ばかり)沿って生きてきた結果、ストレスや疲労が長年に亘って蓄積される
→ ミッドライフ(中年期)特有の変化により、ストレスが更に蓄積される
→ 人生を考えさせられる出来事が起きる / あるいは蓄積したストレス量が許容量を超える
→ 現状に対する不満、不安が一気に募り、人生をやり直したいという衝動に駆られる
→ 不満、不安、不幸せの原因を探し始める
→ 不満、不安、不幸せの原因は妻子(最も身近な標的)にあると思う
→ 今の生活(妻子を含む)を捨てれば・変えれば、問題は解決すると考える
→ ミッドライフクライシス勃発
こんな風になるかと思います。
長年のストレス + 中年期特有のストレス* + きっかけ ⇨ ミッドライフクライシス
(* 更年期障害も影響するでしょう。)
というイメージでしょうか。
でも、お気付きでしょうか。
ストレスが溜まっていても、それをうまく処理する人もいます。
そこで4番目の因子として、「性格」を付け加えたいと思います。
4. 性格
ミッドライフクライシス本人への助言としてよく書かれているのは「自分がミッドライフクライシスであることを認めよう」ということです。
つらい状況であることを認め、周囲にサポートを求めることは、つらい状況を乗り越える助けになります。
少なくとも、ミッドライフクライシスで最も避けるべきとされている「性急な決断(離婚や転職・離職など)」をしないで済みます。
逆につらいということを認められない、自分の弱さを認められない人は、問題を悪化させます。
そこで、下のように修正しました。
長年のストレス + 中年期特有のストレス + きっかけ + 性格 ⇨ ミッドライフクライシス
でも、お気付きでしょうか。
結局、これって全て本人の問題なんです。
もちろん、家庭環境に問題があった、会社が倒産した等、本人にはどうすることもできないことが原因でストレス量が一気に上がることはあります。
でも、最終的にそれをどう処理するかは本人の責任です。
起きてしまった事柄、問題は本人の責任でなくても、それをどう処理するかは本人の責任なのです。
旦那さんの不幸せの原因は、あなたではありません。
ミッドライフクライシスで怖いのは、上のような思考(不幸の原因は全て妻にある)が、ミッドライフクライシス本人にとっては真実であるということです。
本人は心の底からそう信じています。
そのため、多くのミッドライフクライシス本には、ミッドライフクライシスではないかという疑いを本人に言うのは避けるべきと書かれています。
反発を受けるだけで、逆効果だからです。
本人はあくまで自分が正しく、全ての非は妻(一番身近な標的)にあると考えます。
誰の言っていることが正しいのかは、私には分かりません。
でも、自分の不幸の原因は全て妻(と子)にあるとする考え方は、非常に極端で偏っていると思います。
まとめ
ここまで、ミッドライフクライシスになるまでの過程について、私なりの理解を書いてきました。
ただ、それを理解したとしても、ミッドライフクライシスを終わらせる、解決する助けにはなりません。
でも、理解することによって、配偶者であるあなたには何の非もない(あるいは旦那さんが言うほどの非はない)ことは理解していただけると思います。
この理解はとっても大切です。
なぜなら、自分を責めなくて済むからです。
逆に、神のような態度(上目線)で旦那さんを責めることもなくなる(あるいは減る)でしょう。
理解するということは、そういうことだと思います。
直接的な解決には結びつかないかもしれないけれど、心の負担、そして悲しみを減らせると思います。
だから、決してご自分を責めないでください。
あなたの責任ではありません。
このことを、冷静に、何度も、ご自分に言い聞かせてください。
初稿 2024年6月19日
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