今回は「記録を付ける」についてです。
夫がミッドライフクライシスになったとき、記録を付けることは、妻にとって非常に有用です。
記録を付けたときだけでなく、後になっても役立ちます。
詳しく説明します。
1. 記録を付けたとき
その日の出来事について書く、記録すること(例えば日記)で、心がポジティブになる、ストレスが軽減されることは広く知られています。
悩みを文章にすることによって、その悩みを自分事ではなく、他人事として客観的に見ることができるようになるからです。
冷静に、かつ、距離を置いて見ることができるようになります。
それと、自分の中の嫌な(ネガティブな)思い、ドロドロした思いを、(一定程度)外に(吐き)出すこともできます。
書くと、落ち着く、さっぱりするのです。
怒りや悲しみが薄れるわけではありません。
が、それに耐えることを可能にする視点、強さ、芯を与えてくれます。
書いて整理することにより、自分の感情をコントロールできるようになるからです。
怒りや悲しみがつらいのは、コントロールできないから。
整理できていないから自分の感情をコントロールできない、抑えられない。
怒りや悲しみを整理し、その原因が相手の言動にあり、その言動をあなたはどうすることもできない(コントロールできない)のなら、もうそれについて考えることをやめるしかありません。
もちろん、この「コントロールできないことについて考えることをやめる」のは非常に難しいことです。
でも、そのための一歩として、記録するという行為は非常に役立ちます。
実際、半ば衝動的にこのブログを立ち上げた私も、回数を重ねるにつれ、書くことで冷静な気持ちを取り戻す自分を身をもって実感しています。
ただ、これ以外にも、記録を付けることには意外な効用があります。
2. 後々の事態の把握と理解
夫がミッドライフクライシスになると、配偶者は、日常生活が送れないほど振り回されます。
病気にはならなくても、日々の事態に対処するだけで精一杯で、何を言われたか、されたかを覚えていないことも度々です。
そして、ミッドライフクライシスになった本人も、自分の言ったこと、やったことを忘れる(あるいは忘れたふりをしている)ことがあるのです。(元夫がそうでした。本当に忘れたのか、忘れたふりをしていたのかは分かりません。)
ローラーコースターに乗っているような日常を送りながら(欧米のミッドライフクライシス本でよく使われている例えです。)、夫に「そんな(ひどい)ことは言ってない、やってない」と言われると、ただでさえ疲弊している妻の記憶は塗り替えられていきます。
でも、ミッドライフクライシス夫の妻が生き続ける、自分で自分の人生を切り開いていくためには、冷静な視点に基づく事態の把握は不可欠です。
ここで、記録が思わぬ役割を果たしてくれます
後々、事態を確認したいときの助けになるのです。
記録を読むことによって、冷静さを取り戻し、感情に流されるのを食い止めてくれるのです。
冷静な視点に基づく事態の把握については、心理セラピストの Guy Winch 氏が、Ted のスピーチで大変面白い話をしています。
離婚や失恋等の悩みについてカウンセリングするとき、Winch 氏は相談者に、別れた相手の欠点リストを作り、スマホに保存するように言うそうです。
そして、カウンセリング中、相談者が、別れた相手のことを理想化し始めたら(感情的に流されそうになったら)、すぐにそのリストを見るように言うそうです。
記録を読むことによって、感情に流されるのを食い止めるのです。
人の記憶は曖昧です。
ましてや、夫がミッドライフクライシスの妻は、ショックと疲弊で、何を言ったか、言われたか、何をしたか、されたかの記憶が曖昧になります。
夫をまだ愛している、未練があることも、記憶の曖昧化、夫の理想化につながるのかもしれません。
いずれにせよ、平常心ではない気持ちで過ごすうちに、記憶はどんどん塗り替えられていきます。
うまくいっていた時、楽しかった時の夫ばかりが、懐かしく思い出されます。
思い出して泣きます。
夫がどんどん理想化されていきます。
でも、それは虚像です。
パーフェクトな夫なんていません。
(もちろん、パーフェクトな妻もいませんが。)
でも、夫がミッドライフクライシスになった妻は、夫を理想化します。感情に流されます。
そして、理性的な判断ができなくなります。
夫(男性)のミッドライフクライシスは急に始まることが多いからかもしれません。
あるいは、理想化することによって「元に戻れる」という気持ちを支えているのかもしれません。
でも、ミッドライフクライシスになった人は、離婚するしないに関わらず、もう元の状態には戻りません。
そういった現実を認識する(記憶の曖昧化を防ぐ)ためにも、毎日の出来事を記録し、必要な時にすぐに取り出せるようにしておくことは、正確な事実認識のために非常に役立ちます。
私は最初、日記だけ付けていました。
ただ、日記だと自分の感情をそのまま書きなぐってしまいます。
次第に、言われたこと、されたことを一旦ろ過し、できるだけ客観的な形で記録しておかなければならないと思うようになったのです。
元夫のミッドライフクライシス勃発から少したった頃から、日記とブログの両方を、寝る前か翌朝に書くようになりました。
今は、ブログにアップする記事の頻度は減りましたが、日記とブログの併用は今も続いています。
久しぶりに「ミッドライフクライシス夫に言われたこと」(まだ記憶が新しいうちに、言われたことを記録した記事です。)を読み返しました。
言われたことだけでなく、当時の状況も思い出すことができました。
記録していたからです。
記録していなかったら、忘れてしまっていたでしょう。
元夫を理想化し、今もまだ泣いていたかもしれません。
ああすればよかった、こうすればよかったと後悔していたかもしれません。
でも、今、こうやって記録したことを読めるからこそ、自分はあれ以上のことはできなかったのだと、比較的冷静に振り返ることができるのだと思います。
記録を付けることはそのときのストレス軽減だけでなく、後々の事態確認を可能にし、ストレスを軽減してくれます。
最近、もう一つ、記録しておいてよかったと思える出来事がありました。
元夫の親族の態度が変わってきたのです。
向こうの親族とは私なりに良い関係を作ってきたつもりでした。
でも、元夫が自分の親族に何らかの説明をし、私に非があるように思われている可能性も否定できません。
その時思いました。
何かあったら、何か言われたら、このブログを見せよう、と。
もちろん、私の書いていることが事実だという証拠はありません。
(実際、全てが事実ではないでしょう。あくまで私の側からの真実です。)
信じてもらえない可能性もあるでしょう。
でももう随分長い間、ほぼ毎日書いています。
これだけ長い壮大な「嘘」を、誰が何のために書くでしょう?
いくばくかの真実があると考えるのが普通ではないでしょうか。
まとめ
夫がミッドライフクライシスになった直後、妻が夫の言動についてすぐに記録を付け始めることは難しいかもしれません。
でも、1行でも構いません。
その気になったら、気力が戻ってきたら、まだ覚えているうちに、少しずつでも(感情でも、言動でも)記録しておくことをお勧めします。
そのときだけでなく、後々も、きっとあなたの心身のストレスを和らげてくれると思います。
初稿 2024年8月28日
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