以前も少し書いたのですが、私は若い頃クオーターライフクライシスになりました。
今回はそのことについて書いてみたいと思います。
ブログの紹介でも書いていますが、私がこのブログを立ち上げたきっかけは元夫のミッドライフクライシスです。
騒動の初めから私の様子を見ていた母がある日、言いました。「(私が)案外冷静なので少し驚いた」と。
もっとごねたり、怒ったりすると思っていたようです。
確かに、もっと泣いたり、怒ったりすることもできたでしょう。元夫をもっと責めることもできたと思います。
でも、泣きはしましたが、ごねはしませんでした。元夫を説得することは不可能だと思ったからです。
そしてそう思ったのは、元夫の心情が、クオーターライフクライシスになった頃の私と同じではないかと思ったからです。(元夫は否定するかもしれませんが。)
私がクオーターライフクライシスになったのは大学4年の、就職活動が終わった直後でした。
きっかけは父のガンです。
突然見つかり、あっという間に手術となり、無事に終わりました。幸いなことに再発もせず、今に至っています。
クオーターライフクライシスは、父が退院し、家族が元の生活に戻った頃に始まりました。
感情をコントロールすることが困難になり、まともな生活を送ることができなくなったのです。
それまでの自分の人生に疑問を抱き始めました。
自分自身へのいら立ちや怒り、親への怒りなどが湧き上がってきました。
このままでは危ないという自覚はあったので、ほうぼうの病院にかかりました。
ある病院では「肺炎の人が泳いでいるような状態だ」と診断され、休養するように言われました。
うつ(手前)だったと思います。体重が10キロ以上増え、パニック発作のようなものも起きていました。
私がクオーターライフクライシスになる下地はありました。具体的には書きませんが、幼少期から思春期にかけて、私は本来の自分を出すことを許されない状況にありました。
問題は、そういう潜在的な問題を全く自覚せずに生きてきて、父のガンをきっかけにそれが一気に表面化したことです。
そして、私は、それまでの人間関係を一切絶ったのです。
両親との関係を断つ(家を出る)ことはできませんでしたが、親子関係を変える努力をし、それまでの友人と会うことをやめました。
「精神的自殺をして生まれ変わろう」と思いました。
とにかく、何もかもいったん壊して、新しく作り直そうと考えました。
それから大分後のことになりますが、新卒で入社した会社も辞めました。その時の上司や同僚の方々には迷惑をかけたと思いますが、当時はまだ「うつ」というものが今ほど認知されておらず、相談することもできませんでした。
退職後、仕事も変えて、今に至っています。
もし、実際より1年前にクオーターライフクライシスになっていたら、私の就職活動は違ったものになり、就職先も違ったでしょう。(あるいはどこにも就職できなかったかもしれません。)
結局、自分を取り戻すまで、10年近くかかりました。
会社も仕事も、人間関係も変えた頃に出会ったのが元夫です。
ミッドライフクライシスは、死を意識することがきっかけで起こることが多いと言われています。
私はまだ若く、ミッドライフクライシスではありませんでしたが、きっかけはやはり、父のガンで死を意識したことでした。
自分もいつか死ぬということをはっきり自覚するようになり、(周囲が期待する人生ではなく)自分の人生を生きたい、そのためには、生き方を変えなければならないと思ったことを今でもはっきりと覚えています。
大学卒業時のゼミの挨拶では、死ぬときに自分の人生に満足して死ねるような生き方をしたいというようなことを言った覚えもあります。
こういった自分の経験を振り返ると、元夫を責めることはできないような気がしました。
元夫は、クオーターライフクライシスの時の私と同じではないかと思い、そして、もしそうなら、相当つらいだろうと思いました。(もちろん、本当のところは分かりませんが。)
本人は否定していましたが、元夫の幼少期は私以上に過酷でした。
本来の自分を出すことはできなかったと思います。そして実際、ミッドライフクライシス勃発まで、非常に「いい人」でした。
自分が抱えていた思いや問題に、ずっと気付いていなかった、とも言ってました。
元夫のミッドライフクライシスがいつ始まったのか、私には正確には分かりません。
一人になりたいというような発言や、夜中に叫んだり、物を投げたりするようなことは、分かりやすい言動ですが、本当はそれよりずっと前に始まっていたような気がします。
というのも、私も、クオーターライフクライシスが始まるよりはるかに前から、何かがおかしいと思っていたからです。
ただ、何をどうしていいか分からなかったので、そのまま日常を送っていただけでした。
そして私の場合、父のガンをきっかけに問題が表面化したのです。
ミッドライフクライシスとクオーターライフクライシスは同じではありません。
ミッドライフクライシスは中年期に起こります。かたや、クオーターライフクライシスは、クォーターというぐらいですから、若いときに起こります。(私の場合は20代前半でした。)
でも似ている面もあります。どちらもアイデンティティクライシスだということです。
私はカウンセリングを受けながらクォーターライフクライシスを克服し、その後、元夫と結婚しました。
そして今回、私は元夫を、彼のミッドライフクライシスで失いました。
なんか皮肉な気もしますし、そういうものなのかな、という思いもあります。
元夫が今後どういう成長を遂げるのか、私には分かりません。
それはおそらく元夫の資質に大きくかかっているのだと思います。
正解はなく、自分で見つけていく、作っていくしかないのだと思います。
彼自身の戦いだと思います。
今、クオーターライフクライシスだった頃の私を振り返ると思い出すことがあります。
私は孤独を非常に恐れていました。
あるとき、私が一人で夜景を見ている光景が浮かんできて、そういう人生は送りたくないと激しく思ったことを覚えています。
でも、今は少し変わりました。
一人で夜景を見ていても、若いときほど孤独を感じないような気がするのです。
もちろん、今、寂しいときはあります。でも「寂しさは気のせい」と言う人もいます。
最近その意味が分かるようになりました。「寂しさ」はただの感情です。
その感情をどう受け止めるか、対応するかはその人次第です。
私もずいぶん変わったのだと思います。
私が今一番恐れているのは、物事に無感動になってしまう、いろいろなことに対して自分を閉じてしまうことです。
最近、楽しい時間を一緒に過ごせるパートナーがいたらいいなと思い始めました。
私の未来を作る旅は始まったばかりです。
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