夫がミッドライフクライシスになり、離婚しました。
今日は「幼少期のトラブルを甘く見ちゃいけない」についてです。
ミッドライフ(中年期)には問題が山積します。
体力の衰え、ホルモン不調による心身の変化、先の見え始めるキャリア、子供の巣立ちなど、これまで経験しなかったことに見舞われます。
特に男性のホルモン不調(いわゆる更年期障害)は今でこそマスコミも取り上げますが、女性の更年期障害と比べて、まだあまり知られていません。
また、男性の更年期障害への対策は、女性の更年期障害と比べて大変遅れています。
ただ、それでも、ミッドライフトランジション(移行)で済む人と、ミッドライフクライシス(危機)になってしまう人がいます。
なぜでしょう。
大きいのは幼少期・思春期の問題(家庭の問題、親との関係等)です。
幼少期・思春期の問題を整理することなくミッドライフ(中年期)まで抱えてきてしまった人は、ミッドライフクライシスになる確率が高まります。
なぜか。
それは、キャパを超えるのがミッドライフ(中年期)だからです。
幼少期に問題のない人などいないでしょう。
大なり小なり、みな問題を抱えています。
ただ、ほとんどの人は、比較的若いときに問題に直面し、整理・解決します。(もちろん、それでも多くの時間とエネルギーを要しますが。)
私も幼少期・思春期の問題を抱えたまま成人しましたが、20代にクォーターライフクライシスという形で爆発し、でも結果的にはそのおかげで整理することができました。
元夫の場合、そうはなりませんでした。
幸か不幸か、そのまま大人になり、キャパを超えることなく過ごしてきました。
ミッドライフクライシスも、クォーターライフクライシスも、要は成長の過程、自己実現の過程です。
自分の生きたい人生と、周囲(主に親)の期待する人生との折り合いをどうつけるかを決める過程です。
昨今、「空気を読む」や「同調圧力」などの言葉をよく耳にしますが、大人になってそういう環境に置かれた人は、その居心地の悪さの原因(自分の意見やしたいことと、周囲が自分に期待することとの違い)を自覚することができます。
ところが、生まれてすぐに、空気を読むことや同調圧力を強制する環境に置かれる人もいます。
そういう人は、物心ついてからずっと、本来の自分を殺して生きているわけです。
つまり、自分の人生を生きてない。
しかもそのことに気付いていない。
早くに親御さんを亡くされ、他人の中で生活してきた人、あるいは親御さんが自分を殺して生きているので同様の生き方を強いられた人などがそうかもしれません。
このように、何らかの理由で、幼少期・思春期にすべきこと(自分はどういう人間で、どう生きたいかを考え、その実現のために努力しようとすること)をしないまま大人になった人は、ミッドライフ(中年期)に直面する新たな問題で、キャパを超え、爆発してしまうのです。
そして爆発して初めて、自分が無理してきたことに気付きます。(元夫もそう言ってました。)
言われたとおり頑張ってきた。
結果も出した。
成功している。
でも何か違う、楽しくない。
でも何が違うか分からない。
ミッドライフクライシスは、仕事で行き詰っている人だけに起こるものではありません。
人から見たらうらやむような地位にいる人にも起こります。
欧米の本には、大きな会社の重役の人がミッドライフクライシスになった例が挙げられています。(ちなみにそういう人が車や女性に使うお金の額は半端ない額です。)
「若いときにやんちゃした方がいい」というのはよく聞くことですが、それと似ているかもしれません。
子供のとき、若いときに、自分が何者かを考え、自分で選んだ人生を送ってきた人は、後に多少の失敗があっても、壊れることはありません。
ところが周囲の期待に応えることを目標として生きてきた人は、自分が何をしたいかなんて分からない。
それを中年になって突然考え始めるので、ロックスターになりたい、若いときに戻りたいと言い出すようになるわけです。
元夫は、資格を取ると言って出ていきました。
それからまだ3カ月ですが、勉強はやめてしまったようです。
自分の親族とも縁を切りました。(と本人は言ってました。)
おそらく幼少時の自分を好きじゃなかったんでしょう。
自分を殺して周囲の期待に応えてきたその頃の自分には戻りたくないんだと思います。
だから、もし、あなたの配偶者が「いい人」で、若いときから周囲の期待に応えるためだけに生きてきたような人なら、要注意です。
ある日突然「一人になりたい、自由になりたい、自分の人生は全て間違っていた」と言い始めるかもしれません。
結婚するときに、ミッドライフクライシスが起こりそうな人かどうか分かるんじゃないかと思う人もいるでしょう。
でも、分からないんです。
若さや勢いで、深刻な問題が覆い隠されているからです。
他人からは闇の部分は見えません。
本人すら見えてないんですから。
元夫も、出会ったときは、とても明るく、後年、こんなふうになるような様子はみじんもありませんでした。
私の親友がポツンと言ってくれました。
「言い方悪いけど、外れくじに当たっちゃったみたいなものだから、忘れたほうがいいよ」
私も、私の家族も友人も、彼の親族も、元夫があんなふうになるなんて、誰も予測していませんでしたし、予測できなかったと思います。
でも、一番驚いている、苦しんでいるのは本人だと思います。
元夫が自分と向き合って心の中を整理できるのか、それともこのまま一生(向き合うことから)逃げ続けるのか、私には分かりません。
元夫は「野垂れ死んでもいいから離婚する」と言ってました。
何度か書いていますが、元夫とは今でもたまに会います。
どうなるのかなと思います。
でも私からは何も言いません。
ただ、見てます。
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