2024/03/21

幸せについて 保坂正康さんのお話を読んで

夫がミッドライフクライシスになり出ていきました。

今日も「幸せ」についてです。

今、引っ越し準備中、断捨離真っ最中です。

そして本の整理をしているときに、随分昔に買った本を見つけました。

買ったことすら忘れていました。

「ゼロからはじめる幸福論 文芸春秋スペシャル」です。

識者を始め、多くの方がそれぞれの幸福について語っておられます。

で、改めて思ったのが、幸せって人によって違うんですね。

  • 家の中の笑顔。
  • 好きなことをして生きる。
  • 幸福は何年も経ってから思えるようなもの。
  • 会話と食事。
  • 初めて子供と対面したこと。

などなど、ちょっと挙げただけでもきりがありません。

結局、自分の幸せは自分で決める、作っていくものなんですね。

その中で一番心に響いたのが、保坂正康さんのお話です。

保坂さんと数学教師だったお父様の関係がつづられています。

ずっと不仲だったとのこと。

お父様は数学の研究者になりたかったのになれず、定年後は中国語をマスターし、76歳で肺がんに。

病床で初めて知ったのが、関東大震災の直後にお父様が経験したことです。

お父様が父親(保坂さんの祖父)のところに行こうと歩いていたら、重傷の中国人留学生に水が欲しいと言われたのであげたら、自警団に殴られました。

そのせいでお父様は片耳が聞こえなくなり、しかも目の前でその中国人留学生は撲殺されたのです。

お父様が中国語をマスターしたのは、その留学生(王さん)の遺族に彼の最後の言葉を伝えたい一心から。

それを聞いた保坂さんはお父様に強い肉親の愛情を感じたそうです。

正直、私はこれを読んだとき、そして今も、この事件をうまく説明することができません。

自警団がやったことは、人間が犯しうる最悪の「悪」の一つであることは間違いないでしょう。

でもそのことを亡くなる間際まで心に秘めていた保坂さんのお父様の一生。

そんなお父様とあまりうまくいっていなかった保坂さん。

でも病床で何かがつながった父と息子。

それを「幸せ」という言葉だけで語ることはできません。

お二人のやり取りを想像するだけで、私は厳粛な気持ちになると同時に、励まされているような気がするのです。

不思議な落ち着きを感じます。

そして愛を感じます。

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